第3章 二人の恋の交差点 ❥徳川家康
「えっ?」
家康がそう声をあげたのは前に華に会ってから一週間もしない内だった。
「華が風邪を引いたって??」
「はい、熱に魘されてとても辛そうなので...見ていられなくて、家康様をお呼びいたしました。」
そう女中から聞いた家康はひとつ溜息をこぼした。
(はぁ、だからあれほど風邪引くからって言ったのに...)
実はあの後、こっそり華はワサビと1時間ほど外で駆け回っていたのだ。
(全く子供じゃあるまいし...)
家康も遊んでいることは知っていたが、あまりにも楽しそうに遊んでいるため、止めることをはばかられたのだ。
(案の定風邪引いたか。)
「分かった。様子見に行ってみるよ。」
その頃____
(まさかこんなきっちり風邪引くとは思わなかったな...)
華はそっと溜息を吐いた。
(これ、家康が知ったら怒るだろうなぁ)
それでも華は熱に侵されている身。
身体が眠りにつけと命令を出しているのが分かるほど
睡魔が襲ってきた華は、
素直に身体の命令に応え、眠気の中に身体を落としていった。