第23章 純白花嫁は貴方の為に❥豊臣秀吉
「っ、秀吉さん?」
ひてよし、という単語に反応してしまう。
「なんで秀吉さんから逃げてるの?」
私がそう聞くと。
「あぁ。実は今軍議の最中なんだ。」
その言葉を聞いた私は呆れた顔を浮かべる。
「また軍議を抜けてきたの?」
「あぁ。俺は常に刺激を求めてるからな。軍議なんて堅苦しいものは抜けたくなるときがある。」
そう言ってにやりと笑って。
私の頬にそっと手を添えた。
「でも、お前みたいな、見たこともない種類の女には惹かれる。」
「っ?」
政宗の顔が近づいて。
唇と唇が触れ合いそうになる。
すると。
「こら!!お前ら!!」
「「!?」」
その大きな声に私も政宗も肩をびくっと震わせる。
先にその声の主を確認した政宗は
「あ、やべ。」
と一言呟いた。
私もその姿を確認すると。
「っ、秀吉さん...!」
秀吉さんが仁王立ちで立っていた。
そのままどすどすとこちらに近づいてくる。
そのただならぬ空気に圧を感じた私は慌てて言い訳をする。
「っ、違うの!私は材料を取りに来ただけで...」
「いーや。俺と戯れてたんだよな?」
「!?」
政宗が私の言葉を遮るように言葉を放つ。
「ま、政宗何言ってるの!?」
私が政宗に怒ろうとしたとき...
「...それは、ほんとか?」
「え...」
秀吉さんが静かな声で言った。
それも、すごく悲しそうな目をして。
その悲しそうな目を見たくなくてすぐに誤解を解こうとする。
「っ、違うよ!!ほんとに私は針子の材料を取りに来ただけなの!!」
私がそう言い終わると。
「ほお。お前らそういう事か。」
政宗が何かを呟いた。
「ちょっと政宗!政宗のせいで誤解を招いたんだよ!?」
と、政宗に一喝を入れようとすると
「あーあ、秀吉に見つかっちまったら楽しい時間も終わりだな。おい秀吉。軍議はまだ終わってないんだろ?終わってないうちに行ったほうがいいんじゃないのか?」
気が変わったのかいきなり軍議に行きたがる政宗。
「あ、あぁ...」
と、秀吉さんが気の抜けた返事をする。
それから、私がぼーっと突っ立っている間に二人は軍議へと行ってしまった。
でも私は、秀吉さんのあの悲しそうな目が忘れられなかった。