第23章 純白花嫁は貴方の為に❥豊臣秀吉
(また妹扱いされちゃったな...)
華は安土城の廊下を歩きながらそんなことを考えていた。
(なんでいつも妹ってつけるんだろう)
ついさっきまで秀吉さんと話していたのだが。
私が針子部屋から材料を取るために急いで廊下を走っていたところに、秀吉さんが来てお決まりのように廊下を走るな!と言われた。
廊下を走ってもこけないよ、なんて私が言うと、
「お前は大切な妹だからな。廊下は歩くもんだぞ。」
と言って軽くかわされてしまった。
(私は妹じゃないよっ...)
今その秀吉さんの言葉を思い出すだけで心がじくじくと痛む。
本当に秀吉さんは私のことを妹のようにしか思っていないのだろうか。
女としてはひとつも見てくれていないのだろうか。
(私は秀吉さんの事が好きなのにな...)
秀吉さんの事を想うだけで胸が詰まる。
こんな想いをしているのは私だけ...?
そう思うだけでまた心が痛んだ。
(っ、駄目だ。思考が悪い方向に向かってる。)
そう思った私はさっと頭を切り替えて材料を取るために倉庫へと向かっていった。
私が倉庫の目の前まで来ると...
「あれ...?」
少しだけ倉庫が開いている。誰か使っていたのだろうか。
(鍵を開ける手間がなくなったかな?)
そんなことを思いながら私は扉に手をかけた。
きぃぃぃ...
少し不気味な音がする扉を開けて私がそっと中へ入ると...
「わあっっ!!!」
「!?きゃぁぁっ!!」
(な、何なの!?)
いきなり暗い倉庫の中から何かが飛び出してきた。
その倉庫の中で目を凝らすと...
「ま、政宗!?」
政宗がにやりと笑いながらこちらを見ていた。
「おう、よく分かったな。」
「っ、分かるよ!」
どうして政宗がこんなところにいるのだろうか。
「ねぇ、政宗どうして倉庫なんかにいるの?」
私がそう聞くと。
「あぁ...逃げてきたんだよ。」
「え?誰から?」
もう一度私がそう聞くと、
「ひ、で、よ、し。」
政宗が苦笑いともとれる笑みを浮かべて言った。