第23章 純白花嫁は貴方の為に❥豊臣秀吉
(なんであんな秀吉さん、悲しい目をしてたんだろう...)
材料を取りに行った帰り道、私はふとそんなことを思っていた。
政宗が戯れていると言ったときのあの秀吉さんの悲しそうな顔は見るに耐え難い。
(私と政宗の関係が気になったからとか....なんてね)
自分の浮かれた考えが出てきてしまいそれをさっと打ち消す。
「あ!華ちゃん帰ってきたよー!」
「!」
少しだけ遠くから針子仲間の声が聞こえてくる。
(頭を切り替えなくちゃ駄目だよね。)
着物はその人の気持ちが一番出やすい。
邪険な考えをしているとすぐに手元に出てしまうのを知っていた私は頭を着物を作ることに切り替えて針子仲間のところへと走っていった。
「え、見合い...?」
私がそう声を上げたのは針子の仕事が終わって部屋に帰ってきた時だった。
そして、目の前にいるのは...
「あぁ、良い機会だと思うからお前に見合いをさせようと思ってな?」
栗色の目で私を見つめる、秀吉さん。
「え、なんでいきなり...」
いきなりのこと過ぎてついていけていない。
見合いってどういうこと?
私が他の誰かと見合いをするの...?
私が困惑していると秀吉さんが口を開いた。
「あぁ、お前もいい年だろ?もうそろそろ嫁に出さないと貰い手がいなくなるからな。」
(え、いい年って...)
一応私はまだ22だ。
秀吉さんもそのことは分かっていた筈なのだけれど...
(この時代はちょっと価値観が違うのかな。)
そういえばこの時代の人は15.6で結婚していたという話を聞いたことがある。
その人たちからすると私の年齢はかなり年を取っているのだろうか。
(っでも...)
私の好きな人は秀吉さんだ。
秀吉さん以外には考えられなかった。
「っ、私は...」
私が自分の意見を言おうと口を開いたとき。
「あぁ、見合い相手ならもう決まってるぞ。」
(...え?)
見合い相手はもう決まってる...?
「な、何言って...それに私は...」
そこまで言ってはっと私は口をつぐんだ。
今この場で秀吉さんに思いを伝えてどうなるのか?