第22章 トキメキが止まらない?❥織田信長
「最近、信長様は忙しい日々が続いていたじゃないですか。それで、忙しすぎて私の存在とか忘れてしまってるんじゃないかって思って...その、寂しかったんです。」
やっと素直になったその言葉に嬉しさは抱くが、一つ疑問が残っている。
「...それとたいやきの話はどう関係しているんだ?」
俺がそう聞くと華はぐっと下を向いて小さい声で言った。
「心理テスト、です。」
「...心理てすと?」
初めて聞く単語に顔を傾けると華はそっと説明を足した。
「テストっていうのは、試すっていう意味があるんです。だから、心理を試すっていうことなんです」
言いながらも更に小さくなっていく華。
それでようやく俺は心理てすとの意味を理解した。
「つまり貴様は、俺の貴様を思う心を試したということか。」
俺が怒っていると勘違いしたのか華は消え入りそうな声ではい、と呟いた。
華が俺の心を試した。
その事実はあるものの、怒りなど全く浮かんでこず。
むしろそういう心理てすとというもので俺の心を覗こうとしたということに少しの嬉しさを覚えていた。
華も、同じように俺の事を想ってくれているのだ。
その嬉しさだけが信長の頭を支配した。
(...だが。)
そんなことはしなくても俺は華のことしか想っていない。それが伝わっていなかったのか。
そう思った俺は未だに俯いている華をそっと自分のそばに抱き寄せた。
「っ、信長様..,?」
華が声を上げるがそんなことはお構いなし。
俺はそのまま華をぎゅっと抱きしめた。
「っ...」
華が腕の中で赤面しているのが手に取るように分かる。でもそれさえも愛しかった。
(俺も堕ちたものだな。)
何度か思ったことのある台詞をもう一度思う。
...そう。俺の心の中は、華の事だけでいっぱいなのだから。
「...信長様?」
何も声を上げない俺に少しの不安を抱いたのか華がそっと俺の名前を呼ぶ。
そんな華に今度は己の心の内を話し始めた。