第22章 トキメキが止まらない?❥織田信長
「...いや。心を覗き見までは読めるが、その先が読めん。」
俺がそう答えると華が心底ほっとしたような顔で俺を見た。
「そうですかっ、じゃ、じゃあ私用事があるので...」
と言ってこそこそと部屋を出ようとする。
その華の行動に俺は怪訝そうな顔をした。
華に会いたいと思っていたのは俺だけだったのか?
華は俺に会いたいとは思わなかったのか...?
俺がこうして華に会いたいと思って来たのに華は何も感じないのか?
そんな疑問を解決出来るのは一人だけ。
「っわ!」
そんな声とともに華が俺の腕の中に倒れ込む。
そりゃそうだ。俺が華の腕を掴んで引き寄せたのだから。
「っ、の、信長様っ...」
腕の中で可愛らしく声を上げる華を覗き込む。
「...貴様は、俺に会いたいとは思わなかったのか。」
「...え。」
俺の声に華は目を見開く。
それを合図に俺は滑り出すように言葉を発していく。
「俺は、貴様に会いたいと思ってわざわざ会いに来たのだ。なのに貴様は...奇妙な本を持って俺に質問したかと思えばこそこそと逃げ出そうとするし...貴様は俺に会いたくなかったのか?」
その言葉を華は静かに聞いていたが、俺の話が終わるとそっと口を開いた。
「っ、私は信長様の、心が、知りたかったんです。」
「...心?」
華から放たれた言葉に眉間を寄せる。
「心とはどういう事だ。」
俺がそう聞くと、華はぽつりぽつりと自らの心の内を語り始めた。