第22章 トキメキが止まらない?❥織田信長
「あのっ、信長様っ...」
華が少しためらうように俺に話しかけた。
「どうした?」
体を離されたことに少しの不満を持った俺は顔をしかめながらも言った。
その俺の声に更にためらいがちになりながらも華は口を開いた。
「たいやきを食べるとしたら、どこから食べますか...?」
(は...?)
いきなりの突拍子のない質問に驚く。
だが華は真面目な顔で俺を見つめていた。
「それは...どういうことだ?」
どういう意味か分からなくて思わず聞き返す。
俺の言葉に少し緊張を解いた華が少し説明を加える。
「あー、えっと。たいやきを、食べるときに、どこから食べるのかなって...」
「...なぜそんなことが気になるんだ?」
俺がそう問うと華は目を泳がせて、
「っ、答えてください、」
と、それだけ言った。
なぜこんなに強情なのかは分からないが俺は質問に答えることにした。
「俺は頭からだ。一番中身が詰まっている。」
俺がそう答えると、華はそっと自分の後ろから何かの本を取り出した。
そして何かを確認するといきなりぱあっと花が咲くような笑顔になった。
(っ...)
俺はやはりこの笑顔に弱い。
そんな花が綻ぶような笑顔を見ながらも、華が手にしている本に目を移す。
「その本はなんだ?」
俺は今でもにこにこしている華に声をかけた。
すると華はしまったという顔をして俺を見上げた。
「っ、気にしないでください!」
そう言って貼り付けたような笑みを浮かべながらこそっと本を隠そうとする。
(そうはさせんぞ)
俺は華が隠そうとしている本をぱっと取り上げる。
「っあ!」
華がびっくりした声を上げるが俺はお構いなしに本の表紙を見た。
そこに書かれていたのは...
「心を覗き見心理....」
(これはなんと読むんだ)
見たこともない文字が綴られていた。
そこで視線を華に移すと、やってしまった、という目で俺とその本を見つめる。
「っ、信長様っ...」
華が消え入りそうな声で俺を呼んだ。
「その文字、なんて書いてあるか読めますか...?」