第21章 純白華蜜烈火理論❥徳川家康
「え、仮の、祝言...?」
家康は私に全てを語ってくれた。
見合いをすっとばして祝言を挙げたいと言われたこと。でも家康は私がいるから断ろうとしたこと。
「...でも、光秀さんの言うことも確かだった。ここで仮の祝言を挙げれば、謀反の裏を取れたんだ。」
更に家康は続ける。
「それでも、俺はあんたとしか祝言を挙げたくなかった...。だから、せめてあんたを祝言の場から遠ざけようとしたんだ。」
「え...」
家康が一日御殿を出るなって言ったのはそういうことだったの...?
「...だけど、あんた以外と仮にでも祝言を挙げることにすごく悩んでた。」
「!」
一つ思いあたりがある私は家康を見つめる。
じゃあ、家康は御殿の前で立ち尽くしていたのは、そのことで悩んでいたから...?
全ての謎が解けた気がして私はふっと肩の力を抜く。
「でも、あんたにちゃんと言うべきだった。あんたを傷つけたくないって気持ちがこうなるってわかってなかったんだ。....ほんとに、ごめん。」
家康が頭を下げる。
家康の私を愛しているという気持ちが真っ直ぐに伝わってきた私は言葉を紡いだ。
「家康、顔を上げて。」
その言葉で家康はそっと顔を上げる。
そして、私の思いを伝える。
「...私、家康の気持ちなんて全く考えずに、自分の気持ちだけを優先してた。家康が、こんなに私を想ってくれてるって...気づけなかった。」
そう言っているうちにさっき私が家康に言った酷い言葉が蘇る。
「っ、ごめん。ほんとに...」
私も家康と同じように謝る。
すると家康はそっと私を抱き寄せた。
「俺は、あんたしか、愛してない。」
「...うん。」
「あんた以外、要らない。」
「うん。」
「だから、これからも側にいて。」
「うんっ...」
その家康の言葉にまた涙がこみ上げてくる。
そんな私を見て家康は少しだけ笑った。
「俺は、あんたの涙も全部拭えるように、もっともっと強くなるよ。」
(っ、)
その言葉にも感動したが、少し違うところがある。
「家康は、十分強いよ。」
「え、」
家康が突然の私の言葉に驚いた。
「だって家康はこうして私の心を守ってくれてるでしょ?それだけでも十分強いよ!」
にこっと笑って家康に告げた。