第21章 純白華蜜烈火理論❥徳川家康
「っ...」
俺は華から放たれた言葉に少したじろいだ。
二人の誤解が解けて、俺が華を守れるようにもっと強くなると言うと。
「家康はこうして私の心を守ってくれてるでしょ?それだけでも十分強いよ!」
なんて。
にこっと笑いながらさらっと殺し文句を言った。
(何、この子、この世の全ての可愛いを詰め合わせたみたい...っ)
さっきまで瞳を潤ませていたというのに今はもうきらきらした顔で微笑んでいる。
そして今も俺の顔をにこにこして見つめている。
(ああ、駄目だ。)
俺は理性の限界を感じて、更に強く華を抱きしめた。
「っわ、」
華が少し驚いた声を出す。
その声さえも愛しかった。
そして華の耳元で甘い言葉を紡ぐ。
「...あんたがそう言ってくれるなら、何でも出来そうな気がする。」
その言葉を聞いた華は更に頬を緩ませた。
「ふふっ、私も家康が元気だったら何でも出来るよ。」
そう言って俺の背中をぎゅっと抱きしめた。
「っ、」
その姿があまりにも可愛いから。
つい意地悪をしたくなった。
「...それに、祝言はあんたと挙げなきゃ、ね?」
吐息を囁くように耳元で告げると。
「い、いえやっ...」
華の顔が真っ赤に染まった。
それが伝染するように俺の顔も染まる。
「...なに、本当の事でしょ。」
照れ隠しのように告げると。
「私も、早く、挙げたいな。」
顔を赤く染めたまま、そっと俺の耳元で告げた。
(っ、なんでこの子はこんなに可愛いんだよ...!!)
悔しくなった俺はまた華に愛を囁いた。
「俺も。」
そんなふうに、幸せな時間は過ぎていった。
その先のもっと幸せな瞬間を目指して。
その数ヶ月後に、
白無垢を着た一人の女と、ふわふわの髪の毛を揺らす天邪鬼が、
武将全員に祝われながら、幸せそうに口づけを交わした。
そんな甘いお話が、後世に引き継がれるなんて。
まだ二人は知らない。
終。