第18章 蒼い瞳のその奥を。❥伊達政宗
光秀が華のもとへと向かっていった。
そして、華にお酒を注いでもらいながら一言二言話していく。
そんな二人に、
(今だけ、酒が飲めるようになればいいのに。)
なんて考えが浮かんでしまう。
そのまま二人の様子を観察していると。
光秀が、華の顎に手をかけた。
(!?あいつ...)
何をするつもりなのか。
そんなことを考えている間にも、
二人の距離がゆっくりと近づいていく。
(あいつ、本気でっ...!)
ちらっと見えた光秀の眼は、本気だと言っている。
俺は、いてもたっても居られなくなり、風のような速さで華の後ろに回り込んだ。
そして、華の体をぐいっと引く。
そのまま華をぎゅっと抱きしめた。
「っ、わっ!?」
華が驚く声が耳に入る。
それでも構わず光秀を睨みつけた。
「...お前、殺されたいのか?」
こいつは俺の気持ちを知っている。なのにこんなことをするなんて...
そう感じて物騒な言葉が出てしまう。
だが、光秀は口を開かない。
その代わりに、華が口を開いた。
「ま、政宗...?」
華は困惑したような顔で真っ直ぐ俺を見つめた。
その瞳から俺の心の全てを覗かれそうで、俺はすぐに目を離した。
そして、光秀に向き直る。
少しだけ華を抱きしめている力を強めると、
「お前、次こんなことしたら許さないぞ。」
威厳の意味も込めて光秀に放ったつもりだった。
...だが、光秀は思いもよらず、反撃してきたのだ。
「何故だ?お前と華は恋仲なのか?」
「...っ」
その図星の言葉に少しだけ体がたじろぐ。
その隙を狙ったようにまた光秀が言葉を放つ。
「違うのか?なら何故華に触れてはいけない?まだお前のものではないのだろう?」
まるで煽るように言う光秀に苛立ってぐっと睨みつける。
それに光秀も同じように睨んできた。
そうやって二人で火花を散らしていたとき...
ふいに家康の声が響いた。