第18章 蒼い瞳のその奥を。❥伊達政宗
そんな家康に心が温まったその時...
「おい、華。」
背後からいきなり声をかけられた。
この威厳のある声は...
「の、信長様!」
私はすぐに信長様の前に立った。
「っ、ごめんなさい、どうしたんですか?」
すると信長様が口を開いた。
「今宵、宴を開く。貴様も来い。」
(え、宴?)
「何の宴ですか?」
最近は戦なんてなくて平和だったはずだが...
私がそう言うと信長様はにやりと笑って、
「何にもない日の、宴だ。」
(え?)
「何にもない日の...宴ですか?」
「あぁそうだ。最近宴を開いていなかったからな。武将全員が楽しめるように宴を開くことにした。それで、宴を楽しいものにするためには、貴様が必要だ。」
「え、私が、ですか?」
信長様はひとつ頷く。
私がこの安土城に必要とされていると言ってもらえてる気がして嬉しかった。
「して、貴様行くか?」
信長様が私の顔を覗き込む。
「っ、はい!行かせてもらいます!」
私は元気よく返事をした。
そんな私に信長様はその真紅の目を細めると、
「貴様は本当に良い顔をする。」
そういって私の頭に手を置いた。
「っ...?」
信長様がそんな事をするのは初めてと言っても過言ではない。
その嬉しそうな顔に少しだけ胸がときめいた。
そう思っている間に
信長様は私の頭から手を離すと、
「じゃあまたな。」
そう言うと背を向けて歩き出した。
(っ、信長様があんなことするなんて珍しいなぁ)
そんな事を私が思っていたとき、
「...無防備すぎるだろ。」
蒼い目で華を見つめる一人の男の影があった。