第17章 可愛くなりたい私とかっこいい君。❥豊臣秀吉
私は、少しだけ眠りから覚めた。
何か、夢を見ていた。
愛しい人が私の名前を呼んでいる夢。
あぁ、まだ聞いていたいな。なんて私はもう一度意識を夢の中に落とそうとした。
その時、
「華、起きてくれ、華...」
誰かが私に声をかける。
この声は、聞いたことがある。
「華っ、華....!」
その必死な声に私は完全に夢から覚めていた。
そして。ゆっくりと目を開く。
「っあ、華...!!」
...秀吉さん?
そこで私はようやく理解する。
(あぁ、私、倒れたんだ。それで、秀吉さんの部屋に...)
結局、迷惑をかけてしまった。
可愛くなりたかっただけなのに。
そんなことを考えていると、
「華...?」
秀吉さんがまた私の名前を呼ぶ。
それに私は応えた。
「秀吉さん...」
少し掠れてはいたが、しっかりと名前を呼んだ。
それに感動したのか秀吉さんが私をぎゅっと抱きしめる。
「どうして、こんなことをしたんだっ、どうして...!」
秀吉さんが必死に私に問う。
でも、私は今無性にご飯が食べたくなっていた。
あつあつのご飯が。
「秀吉さん、ご飯食べたい...」
それを聞くと秀吉さんが目を輝かせた。
「ご飯っ食べたいか!?」
その威圧に押されそうになるが、
「う、うん...?」
と答えると、
秀吉さんは目を輝かせたまま後ろからご飯を取り出した。
「これ、食べるか...?!」
秀吉さんが取り出したのはあつあつの卵がゆだった。
「わぁっ、美味しそう...」
私が感嘆の声を上げると、
「あぁ、そうかそうか、いっぱい食べろよ?」
そう言って嬉しそうに私に卵がゆを差し出す。
私は蓮華をもとうとするが...
(っ、あれ)
手に力が入らずかしゃん、と落としてしまった。