第17章 可愛くなりたい私とかっこいい君。❥豊臣秀吉
その日から、私は一生懸命におしゃれをするようになった。
秀吉さんが恥ずかしくならないように、
秀吉さんの隣で歩けるように。
普段なら全然しなかったお化粧も薄くだけだけどするようになって。
痩せるためにご飯も少しだけ抜いている。
それが、秀吉さんのためになるなら、喜んでやっていた。
でも、実は毎朝自分を着飾るのが、しんどい、というところもあった。
もともと秀吉さんは私のそのままを好きになってくれた。
その私を、私が、壊して良いのだろうか。
私が私でなくなるような気がして、着飾るのが怖くなっていく。
でも、可愛くならないと、秀吉さんの隣を歩けない。
そして、秀吉さんは最近忙しくて私と顔を合わせられていない。
これは、チャンスだ。
秀吉さんのいない間に可愛くならないと。
私の頭はそれで占領されていた。
そうしないと、認められない。
だから、私はオシャレをする。
秀吉さんが好きだから、大好きだからやることだ。
そう自分を思い込ませて、今日も化粧をする。
だから私は、自分の身体に起こっていることを、気づくことができなかった。