第16章 キライキライやっぱりスキ❥徳川家康
(!?)
華の口から放たれた言葉は、思いもしないようなことだった。
いきなり告げられた想いに思考が停止する。
華はぎゅっと目を瞑って手を握りしめて膝の上に置き、俺の返事を待っているかのようだった。
(... 華も、俺のことが、好き?)
こんな奇跡ってあるのだろうか。
二人とも同じように考えて同じように思いを口にしようとしていた。
俺にとっては予想外の事だったが、色々考えている時間はない。とにかく返事をしなければ。
そう思って震えそうになる口を開く。
「俺も、」
そんな短い言葉しか出なかった。
あぁ、人って緊張したらこんな動揺するんだ、なんて心の端っこで考えていた。
しかし、華は相変わらず目を瞑ったままだ。
きっと、華も同じように緊張して俺の声が聞こえていないのだろう。
(ちゃんと言え、ってことか。)
こうして華が振り絞って思いを伝えてくれたのだ。
ならば俺も同じように思いを返さなければ。
そう思って俺は口を開いた。
「____俺は、」