第16章 キライキライやっぱりスキ❥徳川家康
2人を甘い空気が包んでいっている気がする。
(...もしかして、)
華に気持ちをつたえるのは今じゃないか...?
俺は直感的にそう思った。
華も全く動き出そうとしないし、本当に今、伝えるべきなのかもしれない。
(...っ、こんなに早く伝えるときがくるとは思わなかったな)
でも俺も一応男だ。
一度決めたものは貫き通す。
それが俺の信条でもあった。
今、貫き通すべきものは、
華への、想い。
それだけだろう。
そうして、俺が口を開こうとした時だった。
「あのっ、家康っ...」
華が消え入りそうな声で俺の名前を呼んだ。
(え...)
まさか華が俺に声をかけるとは思わなかった。
なんの事だろうか。
「なに?」と、俺が言うと。
華はまた消え入りそうな声で言った。
「あの、ね、家康に言いたいことがあるんだけど....」
そう言って俺を見つめる。
(言いたいこと?)
一体なんだろうか。
俺はその続きを促すように頷いた。
そして華が意を決したように大きく深呼吸すると、
「あの、ね、私。」
何が言われるのだろうか。
そんなことを思っていたとき、
「家康が、好きなのっ...!!」