第16章 キライキライやっぱりスキ❥徳川家康
でも、そんな俺にも、ようやく思いを伝える時がやってきたのだ。
最近、俺は信長様に呼び出された。
なんだろうと思いながらも天守に向かうと、信長様からこういう話を聞かされた。
これから明日から数日間信長様は城を開けるらしい。
その間の華の面倒を俺が見てやってほしいとの事だった。
「え、俺がですか。」
俺は少し面倒くさいようなふりをしながらも内心は飛び跳ねていた。
「あぁ。貴様が適任だろう?」
「...」
信長様はにやりと笑って言う。
もしかしたらこの人は全てを分かっているのかもしれない。
いや、分かっていてわざと俺に任したのだろう。
でも....
やっと俺にも、思いを伝えるときがやってきたのだ。
(ちゃんと、伝えなきゃな。)
華への、この溢れそうな思いを。
御殿に戻ると早速華を迎える準備をしてから、
絶対に思いを伝えるぞ、と。
小さな決意をしてその日は眠りについたのだった。
そして、その当日。
華が大きな荷物を抱えて俺の御殿にやってきた。
必ずこの機会に言わなければ他の機会はもうきっと廻ってこない。そんな思いで華を迎えた。
「よく来たね。」
俺がそう声をかけると、
「家康!これから少しの間だけどよろしくね?」
そう言って華はまたにこっと笑った。
(っ...)
(最初から、それは、反則...)
なぜこうも華は可愛いんだろう。
ひとつひとつの仕草とか表情とか全部全部が可愛く見える。
その瞬間を一つも逃したくない。
(...惚れすぎ、でしょ。)
今まで知らなかった自分がこういう形で見えるようになるなんて。
それも、心地の良い変化をした自分を。
そんなことを思っていると、いかに自分の思いがこれまでに成長してきたのか分かった。