第15章 戯れなんて、言わないで。❥織田信長
ふたりは天守に戻ると、いつもの位置に腰を下ろす。
(こいつに、何から話してやろうか...)
色々と話さなければならないことがあるのだが...
取り敢えず、あの女のことを証明しなければ、と、俺はあの女について事細かに華に説明した。
あの女は自分の妹であること。
久しぶりに会って積もる話があったこと。
妹だからそんなやましい気持ちはないことなどを説明した。
すると、
華がいきなりなみだを目にいっぱい溜めて信長に抱きついてきた。
「...っ、ごめんなさいっ.,.!」
華がいきなり謝る。
突然で驚いた信長だったが、華の気持ちを汲み取り、優しく背中をさすった。
すると、少しずつ華が口を開き始める。
「...っ、私、信長様のことを、疑ってました。信長様が他の女の人と歩いてて...嫉妬したんです。でも、それが妹さんだったなんて...」
華が本当に悪かったという目で俺を見上げる。
「本当に、ごめんなさい、...妹さんと色々と話すこともあったはずなのに...」
と、あからさまに落ち込んだ。
そのことをきちんと予想していた信長はすっと華の前に反物を差し出した。
すると、
華があっ、と呟く。