第15章 戯れなんて、言わないで。❥織田信長
華が走り去っていく様子を見た信長は隣の女に話しかける。
「すまない、今日はここでよろしいですか、大きな用が出来たもので。」
その女は快く答えた、
「えぇ、楽しかったです。また、いつでも。」
そう言われた途端、信長は駆け出した。
なんだか、嫌な予感がしたのだ。
必死に走って城に辿り着くと...
華がなにか荷物を抱えて出ていこうとしていた。
その姿を捉えた信長は叫ぶ。
「華!」
その声に気づいた華はささっと城を出ようとするが...
その肩は信長によってしっかりと捕まえられていた。
信長が落ち着いて尋ねる。
「...貴様、何をしようとしている?」
華は半ば諦めたように言った。
「...信長様に、そんな相手がいるって知らなくて...ほんとにごめんなさい。あの方の側にいていいですから。私は気にしないでください。」
信長は最初はなんのことから分からなかったが、すぐにあの女の事だと気づく。
そして、きっぱりと言い放った。
「貴様が何を勘違いしているかは知らんが、俺は貴様しか愛していない。」
「!」
華が目を見開いて信長を見る。
その視線を受け止めながらも信長は言葉を放つ。
「...今日俺が共にしていたあの女のことなら、包み隠さずに話してやる。だから、取り敢えず天守に帰らないか?」
信長は優しく催促した。
すると、その言葉に押されたのか華がコクリと頷いた。