第15章 戯れなんて、言わないで。❥織田信長
(間違い、じゃないよね...?)
いや、そんな筈がない。私が信長様の声を聞き間違えるわけないからだ。
(こんなところで何してるんだろう)
しかも今、女の人の声が聞こえたような...?
私は少しだけ積もった嫌な予感が当たらないと願って信長様の声がした方へ歩みを進めた。
すると...
(っ...!)
嫌な予感が、的中した。
信長様が、私の知らない女の人と、歩いていた。
(...なんで...?)
疑問と困惑が募る。
信長様が言えなかった理由って、私以外の女の人と会ってたからなの...?
咄嗟にそんな考えが浮かぶ。
信じたくはない。だけど、それだと全て辻褄が合うのだ。
(私と一緒に居れないって言ったのは、他の女の人と会うため...?)
でも、秀吉さんも信長様のことをお時間ですと言って呼んでいた。
(ていうことは、秀吉さん公認ってこと...?)
目に飛び込んできた事があまりにも衝撃で、そして情報量が多すぎて、私はその場に立ちすくむ。
その間にも信長様とその女の人は向こうへと歩いていっている。
(っ、とに、かく。追いかけないと...)
私は動かない足を必死に動かしてあの二人を追った。