第15章 戯れなんて、言わないで。❥織田信長
「...今日は、貴様と一緒にいる時間がないが、許してくれ。」
信長様がいう。
(...なんで?)
理由を聞きたいが、ただの政務の可能性もある。それにそこまで私が踏み込む必要もないだろうと、私は言葉を押しとどめた。
「わかりました...」
私の答えを聞くと信長様は颯爽と天守から出ていった。
信長様がいない天守は、なにか寂しい。
(...気分転換でも、しようかな。)
新しい反物を手に入れたらきっと気分もあがるだろう。
そう思って、城下に私は城下に出ていった。
でも、それが、馬鹿だったんだ。
私は新しい反物を探しに城下にふらふらと来ていた。
(いつもの反物屋さんに行こうかな?)
そう思って私がいつも向かっている反物屋に行こうと身を翻して、
曲がり角を曲がろうとした時だった。
「今度はお食事などはどうですか?」
いきなりそんな女の人の声が聞こえたかと思うと、
「...あぁ。」
(...え?)
それは、絶対に聞き間違える筈のない、愛しい人の声。
(信長様...?)
信長様の声が私の耳にしっかりと聞こえてきたのだ。