第8章 隙間録~元親編~
「私…元親さんになら……」
「………」
俺は今夢でも見ているのだろうか…?
布団の上には肌蹴た寝間着姿の雪乃。
その頬は紅潮し、潤んだ瞳で俺の事を見上げている。
(何だよこの状況…!)
普段の俺なら慌てて彼女の上から退いたかもしれないが、今は金縛りに遭ったかのように体が動かなかった。
ゴクリと生唾を呑み、改めて雪乃の顔を見下ろす。
なんでこんな事になってんだ?
なんでお前は俺から逃れようとしない?
ぐるぐると思案を巡らせていると、彼女が俺の手を取り自らの頬へと誘導させる。
「…嫌…ですか…?」
「へ……?」
「やっぱり生娘なんて面倒…ですか…?」
「な、何言って…」
「…それでも私……初めては元親さんがいいです…」
「ッ…」
その瞬間、俺の中で何かがキレた。
雪乃の両腕を布団に縫い付け、荒々しく唇を貪る。
きっとコレは夢だ。
欲望に塗(マミ)れた俺のしょうもない夢…
だがむしろそれは好都合じゃないか?
現実では俺を阻む一線を、ココでは越える事が出来るのだから…
「雪乃…本当に良いんだな?言っとくが、途中で止める程俺は優しい男じゃねぇぞ?」
「………」
俺の問いに彼女はこくりと頷く。
それを確認した後、今度は優しく唇を重ねた。
俺からの口付けに応えようと、柔らかく小さな舌を懸命に動かすその様が可愛い。
ずっとこうしていたいと思う気持ちもあったが、情けない事に俺の雄はすっかり元気になってしまっている。
俺は口付けを続けながら、元々肌蹴ていた彼女の合わせを開いた。
「あんまり…見ないで下さい…」
そう言って恥ずかしそうに両腕で胸を隠す雪乃。
そんな仕草をされるとつい苛めたくなってしまう。
「…んじゃあこっちから触っていいか?」
「ぁっ…」
滑らかな太腿を撫でその付け根に触れようとすれば、彼女は慌てて俺の手を制した。
その隙に、がら空きになった胸元へと唇を寄せる。
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