第6章 初めての船旅
(うーん…気持ちイイ)
青空の下、雪乃は大きく伸びをする。
彼女は今、元親、政宗一行と共に海の上にいた。
昨日一日旅の準備をし、今朝早くに出航したのだ。
今日はよく晴れており潮風が心地良い。
「Hey、雪乃」
「……、」
声を掛けてきたのは政宗だった。
また自分の素性を詮索されるのではないかと思わず身構えると、政宗は肩を竦めて笑う。
「そんなに警戒すんなって。安心しな、アンタの事をしつこく聞く気は無ぇ」
「…え……?」
「船を借りる条件の1つとして西海の鬼に言われたんだよ。アンタの事を嗅ぎ回んなって」
「……、」
「だから一緒に行動する間は仲良くしようぜ?you see?」
そう言って握手を求めてくる政宗。
躊躇いながらもそれに応えようと怖ず怖ず手を伸ばせば…
「きゃっ…」
「…あっさり捕まりやがったな」
頭上で政宗の笑う声が聞こえる。
気が付けば雪乃は彼の腕の中にいた。
「は、放して下さい…!」
「アンタ…その騙されやすい性格は何とかした方がいいんじゃねぇか?」
「っ…」
「まっ、アンタの素性を聞かないように言われたのは本当の事だからな…そこは追及しねぇけどよ」
自分から追及しなくても、この調子なら雪乃の方から勝手にボロを出しそうだと政宗は思う。
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