第2章 屋敷での生活
雪乃は自分の住んでいた世界と、この地があまりにも違うという事を彼に話した。
颯から聞いたこの国の事…
自分の目で見てきた町の様子…
そして、"長曾我部元親"という歴史に名を残した偉人の事…
彼女の話をすぐに理解するのは到底無理な事だったが、真剣な眼差しはデタラメを言っているようには見えない。
それに何より、元親は雪乃の事を信じると決めたから…
「あー…難しい事はよく解んねぇが……雪乃がこの世界の人間じゃないって事は理解した。そうすりゃあ不思議に思ってた事も辻褄が合うしな」
「信じてくれてありがとうございます」
元親の言葉に少しだけ肩の荷が下りたような気がする。
まだ何も解決はしていないが、彼に打ち明けて本当に良かった。
「…で?これからどうする?元の世界に帰れそうなアテはあんのか?」
「それは…」
正直手掛かりは何も無い。
けれど1つだけ、雪乃には気になる事があった。
(私が迷い込んでしまったあの森…)
あそこに何か手掛かりは無いだろうか?
自分がいた世界とこの世界を繋ぐ何かが…
(それに…)
失くしてしまったネックレス。
出来ればそれも探したい。
「…どうした?何か思い当たる事でもあったか?」
「いえ…そういう訳じゃないんですけど。私が最初にいた森に何か手掛かりは無いかなと思って…。それに探したい物があるんです」
「探したい物?」
聞き返してくる元親にネックレスの件も話してみる。
「…ふん…なるほどな」
「私…もう一度あそこへ行ってみたいんですけど…」
そう申し出れば、元親は少し考えた後それを承諾した。
「よし解った。今日明日っつーのは無理だが…俺の手が空き次第一緒に行ってみようぜ」
「ほ、本当ですか?」
「おう。ここでうだうだ考えてたって仕方ねぇしな」
「ありがとうございます!」
「それに…」
「…?」
本当に雪乃が未来からの異邦人なら、こんなにワクワクする事は無い。
不思議そうな顔をしている彼女をよそに、元親はその瞳を少年のように輝かせるのだった…
続