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*キミと出会えた奇跡*【戦国BASARA】

第2章 屋敷での生活




「雪乃さん、大丈夫ですか?」

「う、うん…大丈夫」


元親の屋敷で世話になる事が決まり、雪乃は早速颯に中を案内してもらっていた。
想像以上に広い屋敷。
その中を歩き回るだけでもひと苦労だったが、圧倒されたのは別の理由だ。

『ついにアニキにも嫁さんが…!』
『アニキをよろしくお願いします!』
『アネキって呼んでもいいですか!?』

…などなど、元親の部下たちに詰め寄られたからである。
元親いわく、「むさ苦しい野郎ばっかだが、悪いヤツらじゃねぇから仲良くしてやってくれ」との事。

中高と女子校に通っていた名前にとって、こんな大勢の男たちに囲まれるのは生まれて初めての事だった。


「ここには女の人がいないから、みんなはしゃいじゃってるんですよ」

「そ、そうなんだ…」

屋敷を回りながら、颯の生い立ちについても聞く機会があった。
呉服屋の長男として生まれた彼。
年齢は15歳、3年前に戦で両親を失くし元親に拾われたという。

(戦って……戦争の事だよね?)

薄々感じてはいたが、やはりここは自分のいた世界と何かが違う。
言葉は通じるし、日本である事に間違いはなさそうだけれど…

(まさかタイムスリップ…とか?…いやいや、そんな漫画やドラマみたいな事が起こる訳ないよ…)


ぼんやりそんな事を考えていると、ふと颯が「そーだ!」と声を上げた。


「雪乃さん、町にも行ってみませんか?その…服もそれだけじゃ不便でしょうし」

「……、」

確かにそうだ。
今着ているのは、この地へ来る前に着ていた花柄のワンピース。
けれど男たちに襲われた時一部破かれてしまった。
破かれた場所から肌が見えないように、上半身は大判の手拭いのような物で覆われてはいるが…


「あの…この手拭いを巻いてくれたのは颯くん?」

「いえ、雪乃さんを見つけた時にはもう巻いてありましたけど」

「そ、そっか…」

(…て事は、これもあの男の人が巻いてくれたのかな?)



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