第9章 忍流風邪の治し方
「…雪乃」
「んっ…」
名前を呼ばれたと同時に唇を塞がれる。
当たり前のように入ってきた小太郎の舌が彼女のそれを巧みに絡め取った。
(…やだ……また…)
舌を絡められる度、この間と同じように下腹部がきゅうっと切なくなる。
そうして頭がぼんやりしてきた頃、ようやく小太郎は唇を離した。
「フッ……せっかく拭った汗がまた滲んできたな」
「ゃっ…」
いつの間にか素手になっていた小太郎の指先が直接雪乃の背筋をなぞる。
その行為に思わず反応していると、今度は彼の手が後ろから前へ回ってきた。
「ぁっ…」
それまで両腕で隠していた膨らみをやんわり掴まれる。
流石に焦った雪乃は、その手を退かそうと必死に抵抗した。
「だ、だめです!これ以上は…!」
「…あまり大声を出すと、隣の部屋にまで聞こえるぞ」
「…!」
隣の部屋には元親がいる。
むしろ大声を出せば助けに来てくれるかもしれないと思ったが、何故か彼女にはそれが出来なかった。
「…お前の恐がる事はしない……大人しくしていろ」
「んっ…」
再び唇を塞がれる。
先程と違うのは、同時に胸を愛撫される事だ。
やわやわとその感触を楽しんだ小太郎は、すでに反応し始めている胸の頂きを指で弾く。
その瞬間、雪乃の体がびくりと跳ねた。
「…接吻だけで感じたのか?お前は本当に可愛がり甲斐がある」
「ちがっ…」
「…体は素直なのだがな」
「ぁっ…!」
今度は胸と耳を同時に愛撫され、思わず嬌声を漏らす。
恥ずかしさに唇を噛み締めようとすれば、するりと小太郎の人差し指が口内へ入ってきた。
「…噛むなら俺の指にしろ」
「んぁっ…」
雪乃の舌を擽るように小太郎の指が口内を弄る。
耳も胸も口内も同時に愛撫され、初めて知るその快感に彼女は涙を滲ませた。
(…こんなの…、知らない……)
先程より更に熱くなっていく下半身。
けれどどうすればこの熱が治まるのか、経験の無い雪乃には分からなかった。
「…体が疼いて仕方が無いといった顔だな」
「っ…」
彼女の口から指を引き抜いた小太郎は、その濡れた自身の指に舌を這わせながら厭らしく笑う。
恥ずかしくて堪らないはずなのに、雪乃は彼のその表情から目が離せなかった。
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