第4章 そして過去へ…
「…まっ、それでいっかぁ…
それより何年前に戻るの?」
「八年前の今日です
この日に彩奈様の寿命が決まる大きなきっかけがございました」
私は必死に思い出そうとしたけど何も思い出せなかった。
「ねぇ、何がきっかけだったの?」
「それを話しても過去に戻れば、記憶から消えてしまうので意味がごさいません」
執事はまた涼しい顔に戻っていた。
どれくらい歩いたのか分からない。
「ねぇまだなの?
…何か歩いてばっかりね」
この頃には、もう寿命の事なんて頭になかった。
「着きました
八年前の今日、朝起きた所からやり直す事になります
これまでの八年間の記憶は消えてしまいます
今ならまだ戻る事は可能ですが、どう致しますか?」
これが最後の選択になる。
でも、私はもう決めていた。
「やり直します!
例え、すぐに事故で死んでも構わないわ!」
「…分かりました
では、彩奈様の未来に幸あれ…」
執事が持っていたステッキを振り上げると、その目映い光りに目を奪われた。
「主さんにありがとうって!
それと、執事さんもありがとう!」
私は思わず叫んでいた。
ピピピッ…ピピピッ…ピピピッ…。
いつものアラームの音で目が覚めた。
「ん~…、何か変な夢見ていたような…
あっ、今日は早く行かなきゃ!」
私は飛び起きて、支度を済ませた。