第4章 そして過去へ…
私は急いで駅に向かった。
「やっばい、遅刻しちゃう」
今日は早くから打ち合わせがある。
(…仕方ない、近道使おう)
普段は滅多に使わない近道を使う事にした。
何故いつも使わないかと言うと…。
ワンッ!ワンッ!
「キャッ!」
道沿いに苦手な犬がいるからだ。
私は小さい頃、犬に追い掛けられ、それがトラウマとなり鳴き声だけで足がすくんでしまう。
それでも走って通り抜けた。
何とか予定していた電車に乗れた。
「ふぅ…間に合った…」
いつもより30分早い電車は少し空いている。
会社にも問題なく着き、打ち合わせも無事終わった。
「坂井、お疲れさん」
ちょっと憧れてる先輩から声を掛けられた。
(早起きした甲斐があった)
「ちょっとお茶でもするか?」
「はいっ!」
お茶と言っても社員食堂だけど…。
「坂井もだいぶ成長したよな
助かったよ」
「ありがとうございます!」
先輩に褒められた…、凄く嬉しい。
「さて、戻るか…」
先輩が立ち上がると、コップが倒れてしまった。
「あっ…」
残っていたコーヒーが先輩のズボンに掛かってしまった。
「大変!」
私は何か拭くものを探した。
「あれ?」
ポケットに何か布が入っていた。
取り出すと黄色いハンカチ。
「先輩、これで!」
でも、このハンカチ…。