【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第2章 鼓動アンビシャス.1
今日の練習は、みんな調子がいいみたいで、スムーズに進んでいた。
僕も怪我からあけたばかりなので、みんなに負けじと練習に気合を入れていた。
「みなさん。もう3時間も踊りっぱなしですよ。」
「はいはい。キッチリ練習したあとはキッチリ休憩。」
立ち会ってくれている澄空さんが心配の声を上げた。
夜叉丸さんの合図で休憩時間になった。
「こないだのRIZINの反響で、XOXOの特集を組ませて欲しいって話が来たのよー!」
嬉しそうに話す夜叉丸さん。
「いよいよ特訓の成果を見せる時が来たよ♪ごうちん!」
「うるっせえ。」
また悠太が剛士をからかっている。
「漣、タオル。」
「健十、ありがとう。」
健十は僕と一緒だ。
百と龍広と輝は雑誌を読んでいる。
倫毘沙と竜持は先程の練習の確認をしていた。
「あれ。剛士と漣が休憩時間に別行動なんて珍しいね。」
「いつも、本物の兄弟のようにくっついていますからね。喧嘩でもしたんですか?」
和南と帝人に話しかけられた。
「たまには、俺と一緒がいいんだよな?」
「……」
健十が肩を組んできた。
僕は痛いところを突かれたので、ムスッとしてしまった。
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昨晩。
ボイトレからの買い物というスケジュールで、帰ってきた僕はお腹が減っていた。
部屋に美味しそうなハンバーガーセットがあったので食べてしまったのだ。
「お前!何勝手に食ってるんだ!」
でもそれは剛士のものだったらしく、シャワーから出てきた剛士とめちゃくちゃ喧嘩になった。
「ごめん。お腹空いてる僕に買ってくれてたのかと思った。」
「違ぇよ……」
「だから、ごめんって。もう食べちゃったけど、返す。」
「いらねえ。お前、ふざけんな!」
「はぁ?じゃあ僕はどうすればいいわけ?もう謝ったし、返すのも拒否、食べても怒られるし。」
「お前のそのスカした態度が腹立つんだよ!!ブス!!」
「はぁあ?言ったな??顔面にクソついてんぞ。クソ剛士!!」
「お前絶対許さねぇ!!」
「こっちの台詞だっ!!」
騒ぎを聞きつけて、眠そうな健十は部屋から出てきて、竜持と通話しながらゲームしていたらしい悠太がリビングに顔を出した。
取っ組み合いになっている僕らを二人がかりでなんとか引き剥がし、それからというもの僕はクソ…いや剛士と口を聞いていないのであった。