【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第2章 鼓動アンビシャス.1
「うわぁ。健十、お疲れ様。」
和南が同情の眼差しで健十を肩ポンした。
「お互いリーダー同士、色々苦労があるよな。」
「待って、健十THRIVEのリーダーだったの?」
僕のツッコミは流された。それについて問い詰めようとした時、竜持と倫毘沙が急にレッスン室から出ていった。追いかけるように悠太も出て言って、異様な空気を感じた。
「是さんのお父さん、有名俳優だったんですね。」
「しらね。興味もねー。」
後ろでクソ剛士がなんか言ってる。
ダメだ。僕相当イラついてる。声聞いただけでムカつくなんて。
「健十、今日から僕引っ越すね。」
「は?いきなり何?」
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竜持が階段から落ちてしまって、救急車で運ばれた。
みんなでお見舞いに来たけど、誰のことも覚えていなくて、ショックだった。
「こんな時なのに、ごめん。」
「いや、竜持がいなくて寂しいから、大歓迎だよ。」
剛士と喧嘩真っ最中の僕は、キタコレの部屋に泊まりに来ていた。
倫毘沙のお父さんの病院で昔からお世話になっている僕は、倫毘沙に隠し事は一切無しだ。
「竜持の服、借りたらいいよ。俺のだと、大きすぎるだろ?」
「うん。ありがとう。」
倫毘沙は電話の用があるらしく、廊下に出ていった。僕はその間にシャワーを浴びて、竜持の服に着替えた。
竜持のモコモコの服は暖かいけど僕には可愛すぎる。
竜持、心配だ。検査の結果が良ければ、明日には退院できるらしいと聞いて、会いたい気持ちでいっぱいだった。
「漣、ベッドで寝ないと風邪ひくよ。」
竜持のことを考えながら、ウトウトしていると倫毘沙にブランケットをかけられた。
「ん…倫毘沙。僕、ここで寝るから……」
「ダメだよ。身体が痛くなるよ。」
「だって…ベッドが1つしかないじゃないかっ。」
キタコレの部屋には、キングサイズのベッドが一つだけだ。
僕は、小さい頃剛士と一緒に眠っていたこと以外、誰かと一緒に眠ったことなんてない。眠れる自信が無い。
駄々を捏ねていると、倫毘沙に姫抱きされて、ベッドまで運ばれた。
「倫毘沙…どこまでも王子なんだな。」
「漣だけの王子様に、なってもいいよ?」
ベッドの上で仰向けの僕と、僕に跨る倫毘沙。
倫毘沙の指が僕の顎をつーと撫でた。
僕は身震いした。