【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第11章 絶頂エモーション.5
「夏だ!海だ!!バカンスだ〜〜っ!!」
B-project全員での撮影後、控え室で遙日が突然大声を出した。
両手には旅行雑誌。見開きにして剛士の目の前に突き出している。
「うるっせーな、なんだよいきなり。」
剛士は間髪入れずに雑誌を押し返した。
遙日は不服そうな声を上げる。
「ごーうしくん、夏ですよ!!まだ俺たち、夏らしいことぜーんぜんしてないです…ここのコテージ、良くないですか?キャンプ行きたいです!!」
「いいねぇ〜♪楽しそうっ!」
悠太が反応して歓声を上げた。
唯月も近づいてきて、悠太と遙日に微笑む。
「せっかくだし、泊まりで行きたいね。」
「唯月〜!Good idea〜!!はい、行きたい人〜!!」
すっと、僕の隣に立っている百が手を挙げた。
「ここの渓谷、ずっと気になっていた。リーダー、龍、漣、一緒に行こう。」
和南と龍が目を合わせた。
「百が言うの、珍しいね。」
「あぁ。」
僕は百に誘われたことが嬉しくて、目を輝かせた。
「うわ〜絶対楽しいキャンプにしようねっ。」
思わず百と腕を組んで、身体をぴったりくっつけた。
百は相変わらず無表情だ。
遙日は嬉しそうに声を上げた。
「じゃあじゃあ、悠太くん、音済くん、野目さん、増長さん、漣くんが参加ですね!」
「ごうちんとケンケンもね♪」
「断る。勝手に行ってこい。」
「俺もパス。わざわざ虫の出る場所に行く意味がわからない。」
悠太が勝手にエントリーしたが、2人は却下した。
でも、それにめげる悠太ではない。にっこり笑ってから、健十に話しかけた。
「でもさぁ〜、最近グランピングが流行ってるから、かわいい女の子いっぱいいると思うよ〜?」
「……まぁ、そこまで言うなら?」
「うーわ。」
悠太に丸め込まれた健十を見て、剛士はあからさまにドン引きし、和南と龍は苦笑いを浮かべている。
「俺は行かねーからな。やること溜まってんだよ。」
剛士は席を立とうとするが、遙日にけしかけられた唯月によって阻止された。
唯月の目はうるうると涙を貯めているように見える。お前スゴいな。
「金城さん。僕達と夏の思い出…作ってくれないんですか…?
……僕…金城さんと、夏が……大好きなんです。」
「な゙っ……」
剛士はタジタジだ。これで決まった。
僕は悠太と小さく拳をぶつけあった。