【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第2章 鼓動アンビシャス.1
RIZINROCKの日。
澄空さんか入り時間を間違えたらしく、会場についてすぐみんな走ってリハを始めていた。
澄空さんは夜叉丸さんと関係各所に謝罪行脚中らしい。
僕は怪我をしてしまったので今回は舞台裏スタッフだ。
「漣ちゃん!!」
急に夜叉丸さんに抱き締められた。
「怪我したって聞いたわよ。どこなの?!大丈夫なの?もー、あれだけ無理だけはしないでねっていつもお願いしてるのに!あんたって子は!!」
「夜叉丸さん……苦しい……」
夜叉丸さんは聞いていない。夜叉丸さんには亡くなった妹がいるが、その妹さんに僕の外見がそっくりらしくて、めちゃくちゃ猫可愛がりされている。女なのにここに立っているのは夜叉丸さんの力がほとんどだ。
「久しぶりね〜会えて嬉しいわ〜。」
「ひゃはは。くすぐったい。」
頬ずりされて、夜叉丸さんのボブパーマの髪が首筋でさわさわして思わず笑ってしまう。
「漣さんと夜叉丸さん、すごく似ていますね!絵画のようだ……」
澄空さんが独りごちる。
倫毘沙がそれを聞いて笑った。
「澄空さんの感性はいつも素晴らしいね。」
「あー。朔ちゃんデレデレしてる。」
竜持はニヤニヤしてる。
THRIVEのみんなは、今回のフェスの機材とスタッフが気に入らないらしい。さっき出演者と揉めてたし。
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澄空さんが控え室で僕らのコーヒーを入れていると、雷が落ちて停電した。電気はすぐ復旧したけど竜持の衣装に引っかかってシミが出来てしまった。
「ご、ごめんなさいぃ!!」
「澄空さん。僕も手伝うから急いで染み抜きしよ。」
用意のいい澄空さんが持っていた染み抜きセットで二人がかりで染み抜きしていると、ステージを中継してるテレビからみんなの声が聞こえた。
「嘘ぉ…」
澄空さんが呆然としている。
オープニングアクトやるなんて聞いてない。
しかも、みんな上半身裸で出ている。
「凄いな。みんな。」
僕は自分がここにいることが悔しくて堪らなかった。
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なんとか染み抜きを終えて、早着替えの時間に間に合って、僕も着替えを手伝った。
「漣ちゃんチャージ。」
悠太に抱き着かれる。
「悠太、お疲れ様。カッコよかったよ。」
「ほんと?!漣ちゃんに言われるのが、1番嬉しい♪」