【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第2章 鼓動アンビシャス.1
悠太が心配してくれてるって分かってるけど、僕にとって、女の子なんだから、は禁句だ。
「うるさい!余計なお世話だっ。もう寝る。」
僕に集まってきていた3人を振り払って、自室のベッドに横になった。言われると、余計脚がズキズキ痛んできた。寝れる気がしないけど悔しくて、ぎゅっと目をつむった。
「おい。漣。入るぞ。」
「来るな!」
「はぁ、めんどくせーな。」
剛士とはバンビ時代から同室で、1番1緒にいるから、なんかあった時僕の部屋に入る担当は剛士って決まってる。剛士は勝手に僕の布団を捲って、腫れた足に湿布を手早く貼った。
「気休めだが、冷やしとけ。」
「冷たっ。勝手に布団捲るな。」
「…………」
僕は男として育てられていて、バンビ養成所に入って初めて、ほかの男についているものがないことに気づいたのだ。
それを発見したのが、紛れもなく剛士だった。剛士はいつも、世間知らずの僕の世話を焼いてくれて、兄弟のような存在である。
「そんなに威嚇するな。」
剛士が頭をぽんぽんと優しく叩いて、すぐ去っていった。
僕は急にあんなにムキになったのが恥ずかしくなった。
それと同時に、ものすごい睡魔に襲われた。
明日、みんなに謝ろう。
そう決めて深い眠りについた。
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side THRIVE
健十は漣が部屋に入ったあと直ぐに女の子に呼び出されて出かけていった。
「漣ちゃん、怒ってた?僕、ダメなこと言っちゃったね…」
落ち込む悠太。剛士はため息ついて悠太に話しかけた。
「お前がうるせえのはいつものことだろ。気にしすぎなんだよ鬱陶しい。」
「そっか、そうかも。ありがとうごうちん!」
剛士はげっという顔をして、悠太に念押しした。
悠太は、先程とは打って変わってニコニコしている。
「ぜんっぜんそんなんじゃねーから、絶対勘違いすんな。」
「うん!わかった!」
「……ハァ。」