【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第9章 絶頂エモーション.3
倫毘沙はさわやかに笑って僕に告げた。
「漣。今日のスキンシップ、始めようか。」
「トモ、変なことしたら帰るからな…っ」
僕は警戒して後ずさった。
「その台詞。いけないな。今日まで、漣は俺のマイハニーの約束だろ?」
「ん…っ!」
倫毘沙は僕に口付けてきた。浅い口付けを、角度を変えて何度も。
唇を食み、吸ったり、噛んだりして味わっているようだ。
僕はぎゅっと目を瞑って、なんとか呼吸をする。
「は、はふ、」
「かわいい、漣。行かないで…」
「と、も」
目を開くと倫毘沙のアクアマリンの瞳が涙でいっぱいになっていた。これ、もしかして役に入ってるのかな…僕はされるがまま、受け入れることにした。これが倫毘沙のためになるなら…
僕が目を閉じたのを合図にするように、倫毘沙の舌が僕の口内を犯した。ひどく優しく丁寧に、長く深いキスを何度もした。
「ぁ…んっ」
「はぁっ…」
2人とも、息切れして、心臓がドキドキと大きく脈打っていて、いつの間にか繋がれていた手から溶けて、僕達はひとつになっているようだった。
「行くな。漣…漣…好きだ…」
「んっ…トモ…」
倫毘沙は僕を強く抱きしめて、僕の肩に顔を埋めた。涙で濡れたそこに吐息がかかって、擽ったい。
「好きだ…」
「あっ…」
また唇を重ねて、倫毘沙と僕は本物の恋人が愛を確かめ合うように抱きしめ合った。
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翌日、倫毘沙の再撮影があり、無事一発OKが出て、僕らは歓喜で沸き立った。
健十とミカの他に、今日から部屋に帰る竜持も来ていて、一緒に喜んだ。
「漣。」
「トモ!お疲れ様。特訓の成果出たね!」
「あぁ、君のおかげだよ。本当にありがとう。帰っちゃうのが寂しいな。」
「ごめん。でもやっぱり僕はTHRIVEだから。」
僕は踵を返して、振り向いて微笑んだ。
「3日間ありがとう!さよなら。」
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健十side
「あーあ。トモ、振られちゃったね。」
竜持が茶化すが、やっぱりトモは結構本気で漣を落としにかかっていたらしい。笑顔が寂しそうだ。この俺のキスとアピールでも靡かなかったアイツだから、俺はトモとくっつく心配なんて微塵もしてなかったけど。