【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第7章 絶頂エモーション.1
悠太が剛士の顔を覗き込んで問いかけた。
「ごうちん、どうして教えてあげないのー?あんなに気にしてたじゃーん。」
「るっせえ。俺はそんなに甘くねーんだよ。」
ぷいっと顔を背ける剛士が可愛くて笑ってしまった。
「今も気になってるくせにね。」
僕が言うと剛士はルビーの瞳でキッと射抜いてきた。
「はぁ?夢でも見たんじゃねーの。」
「ほんっとーに素直じゃないんだからっ!」
悠太が明るくからかった。健十はやれやれといった表情を浮かべている。
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翌朝、ブランチにハンバーガーを買いに行った剛士がげっそりして帰ってきたから驚いたら、殿くんに追いかけ回されたと聞いて大爆笑した。殿くん、やるじゃん。
通りすがりの遙日に聞いたけど、弥勒は最近毎晩THRIVEのライブ映像を見て健十を研究しているらしい。熱心な事だ。
その日の夕方、コンビニへ向かう途中で、また公園で自主練をする殿くんを見つけた。
「お疲れ様。」
「透さん。お疲れ様です。」
僕はまた自販機で買ったコーヒーを渡した。
殿くんは疲れているのか、少し落ち込んでいるように見える。
「……どうしたら魅力的なパフォーマンスが出来るようになるのか…」
「たしかに、Bプロのみんなは魅力的だよな。」
僕はBプロのみんなの顔を思い浮かべると、やっぱり夜叉丸さんの笑顔が心から離れなくて、目を伏せた。いつもBプロと共にあった夜叉丸さん。夜叉丸さんのそばに行きたい。今はどこで何をしてるんだろう。最近忙しいのか、意図的に避けられているのか、連絡してもうまく躱されている気がする。ダメだ。じわりと視界が歪んだ。
「透さん……?」
弥勒は僕を見て驚いている。僕は慌てて、涙が零れる前に、自分の袖で乱暴に目を擦った。
「ごめん、夜叉丸さんのこと思い出しちゃって…」
「そんな拭き方したら、腫れちゃうよ。」
殿くんは僕の両腕をぱしっと掴んで、顔から離した。目の前に、きらきらと輝く、アメジストの瞳。僕は魅入ってしまった。弥勒、きみは魅力的だ。そう強く思った。
弥勒は僕を見つめたまま、赤くなっているだろう瞼を、優しく親指で撫でた。
「おーい!弥勒ー!」
明謙の大きな声で僕達は自然に離れた。明謙は大きなおにぎりを弥勒に渡していた。