【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第7章 絶頂エモーション.1
翌日、澄空さんが部屋にやってきて、資料を届けに来た。
なんと、KILLERKINGと、THRIVEが合同ライブを行い、新曲もお披露目するそうだ。レコーディングの日取りも決まり、僕達はレッスンに追われた。
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レコーディング当日、KILLERKINGとの合同レコーディングはとても上手くいった。曲もアップテンポでみんな好印象を抱いたみたいだった。
「今回はダブルセンターで、THRIVEからは愛染さん。KILLERKINGからは殿さんが抜擢されました!」
澄空さんが告げた。
「よろしく。」
「よろしくお願いします。」
健十と殿くんが握手して拍手が沸き起こった。
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2度目のダンスレッスンで、殿くんがセンターから外された。新センターは遙日だそうだ。僕は悠太と視線を合わせた。
「理由を聞いてもいいですか。」
殿くんは動じず、無表情のままだ。
「演出上の都合です。」
コーチも冷静に告げるのみだ。
「では、次回までに遙日くんは振りを覚えてきてください。」
「はいっ!」
遙日が納得いかない態度を正して大きな返事をしたあと、コーチがレッスン室を出て行くのを待って、剛士が沈黙を破った。
「お前、なんでセンター外されたか、解ってんのか。」
「演出上の都合ですよね?振りは完璧に覚えていました。」
殿くんはこのやり取りに心底不思議そうだ。
剛士はため息をついた
「…完璧だったら外されねーよ。」
殿くんは目を目開く。
僕は剛士の後をついてスタジオを出た。
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翌朝。僕は早朝に雑誌の撮影のためにタクシーで移動していた。すると、マンションのすぐそばの公園でダンスのレッスンをしている殿くんを見つけた。僕はすぐタクシーを待機させて走った。
「透さん?」
「よ、殿くん。自主練、頑張ってるね。」
僕はあとで飲もうと買ったが開けていなかった、ホットのブラックの缶コーヒーを渡した。
「ありがとうございます。」
「僕、時間ないから行くけど。あまり根を詰めないように、な。」
そう言いながらまた駆け足でタクシーへ戻った。
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ソロの雑誌の撮影は順調に進み、THRIVEのみんなと合流した。次の収録の打ち合わせをテレビ局でして、すっかり暗くなった後、マンションへ帰ってきたのだった。