【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第5章 鼓動アンビシャス.4
健十は自分で外す手順だったのに、上手く外せないみたいだ。
僕はなんとか自力で解きかけて、自由の身になった悠太に最後を手伝ってもらった。
健十の縄を剛士が解いているが、爆発が早まっているせいで黒い煙が充満してきて手元が見づらくなってきた。僕達も剛士の手伝いをする。
「もういい、先に出ろ!」
健十が大きな声で指示をだすが、従うものはいない。
「そんなこと、出来るわけないよ!」
悠太が反論した。
「このままじゃ、4人とも……」
消えゆくような健十の声。僕も必死で声を出した。
「ダメだ!みんなで逃げなきゃ!」
「1人でも欠けたら、チームじゃねぇ!!」
剛士も呼応した。健十は目を丸くして、そのあと、呟いた。
(信じたら裏切られる、チームなんてバカバカしい。アイドルになるやつなんて、どーせ自分のことしか考えてない。)
「俺自身の事だったな……」
バリバリ。
爆発とは違う大きな音がしたと思うと、周りが開けて明るくなり、そこに僕達以外のB-projectメンバーが揃っていた。
「健十のいい顔いっただきー!」
「え?」
4人の声が揃った瞬間だった。
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あの後、監督が健十の人間性に涙し、健十が監督を食事に誘って、すべてが丸く収まった。映画の撮影も最後まで順調に進み、今日僕達はクランクアップ後の打ち上げに来ていた。立食形式のカジュアルパーティだ。
「はぁ〜、色々あったけど、無事に終わって本当によかったねぇ!」
悠太は打ち上げの席でも甘いものばかり手に持って食べ歩いている。
「本当に色々あったなぁ。な、漣?」
健十が僕の肩にのしかかってきた。こいつ、酒に強くないくせに、こういう席でべろべろになるまで酔うから面倒くさい。
「健十、酔っ払ってるんだろ。重い!離せ!」
「あんなに熱〜く愛を確かめあったのに?」
僕の耳元で囁いて、あろうことか耳朶にキスをしてきた。わざと大きなリップ音を立てて。僕は背筋が毛羽立って声にならない叫びが口から出た。
「〜〜〜!!」
「顔、真っ赤。かーわいい。」
僕は耳を抑えて後ずさりした。デジャヴ?
「ケンケン〜?ちょーっと飲みすぎなんじゃない?」
「釈村の二の舞になりてぇのか?あ゙?」