【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第5章 鼓動アンビシャス.4
「な、何する気?」
夜叉丸さんが不安そうな声を出した。
「剛士、バカ。」
「でっ!何すんだ、漣!」
僕は剛士のスネを蹴った。
通訳さんのよく通る声がここまで聞こえてきた。
「撮影が始まってから見てきたけど、あなた随分自分に自信がありそうね。もしかして女はみんな言うこと聞くと思っているのかしら。そうやって強がっているのは、傷つくのが怖いからなんでしょう。」
「?!」
健十が固まっている。僕と悠太は駆け出した。
「本当は誰も信じていないのに、それでいていつも誰かに依存したりして…甘えん坊さんなのね。と監督が申しております。」
「あはははー!なんてねー!ジョークジョーク!」
「健十は冗談が好きなんだよな。」
悠太は健人の肩を叩き、僕は健十の腕をぎゅっと抱きしめた。
「イッツジャパニーズ〜ジョーク〜」
「健十、行くぞ。健十。」
健十は固まって動かない。僕と悠太で半ば引き摺る形でその場から離脱した。
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翌日
「剛士、これやるよ。」
僕は剛士に箱を渡した。なんの躊躇もなく開けてしまう剛士。中から出てきたのは、勢いよく飛び出る人形。いわゆるびっくり箱だ。
「わぁっ?!」
剛士は驚いて尻もちを着いた。
「ドッキリ大成功ー!」
悠太がプレートを持って、竜持がカメラを構えて近くの茂みから出てきた。
「だから!やめろよこーいうの!!」
「バッチリ撮れたよ〜。」
剛士は起き上がって竜持を睨んだ。
竜持は上機嫌だ。
「マロ眉、お前今日出番なかったろ。」
「僕、メイキングカメラマンだからね。」
「なんだそれ。」
「そういえばケンケンは〜?」
悠太が辺りを見回すが姿がない。
澄空さんが心配そうに回答した。
「ロケバスです…」
「チッ、らしくねーな。」
「やっぱり落ち込んでるんだな。」
僕のセリフに、澄空さんが反応した。
「え?どうしてですか?」
「昨日監督に言われた言葉、健十には相当こたえてるみたいだったからさ。」
僕はロケバスの方を一瞥した。
「そろそろ撮影始めまーす!」
「わたし、愛染さん呼んできます!」
監督から合図がかかり、澄空さんがバスへ走っていった。
僕達3人は目を合わせて、剛士が首を振った。
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