【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第5章 鼓動アンビシャス.4
夜叉丸さんは僕に近づいてきて、手を握った。
「はぁあ〜。お化粧のせいで頬ずり出来ないのが悔しいわ〜。こんなに久しぶりに会えたって言うのに!!漣ちゃん〜愛してるわ〜!」
「夜叉丸さん。ありがとう。僕も愛してる。」
照れてにへらと笑う僕を、夜叉丸さんは抱きしめた。
「あぁ〜愛しすぎる〜!!もう離さないっ!!」
「く、苦しい……力強いんだから…ギブギブ。」
「夜叉丸さんは今日も通常運転だね。」
倫毘沙が笑って見てる。いや助けてくれ。
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喧嘩のシーンで、剛士が色気がないとダメだしされた。
僕と悠太は可愛い担当らしく、用意されたパジャマに着替えてうさ耳やハートのクッションの部屋で撮影があった。
剛士と健十はお色気担当らしく、シャワーの撮影へ行った。
だが剛士は色気が足りないらしくて、もう一度取り直しになった。
「なんで俺だけ。」
ぶつくさ文句言う剛士に、監督と仲良く話してる健十は得意げだ。
「調子こいてんじゃねーぞ。」
「こいてない。」
「まあまあ、2人とも。お茶飲んで落ち着こう。」
悠太が出したお茶を飲んだふたりはいっせいに吹き出した。
「超苦いセンブリ茶だけどー。」
僕は舌を出してピースした。
後ろから隠れて撮影していた竜持が出てきた。
「ドッキリ大成功ーー!!」
3人で声を合わせて、僕がプレートを出した。
「はぁ?!ふっざけんな!」
「あぁああ前髪が…信じられない…」
剛士が吹き出したお茶が目の前にいた健十にかかって、健十は夢中で前髪を直している。
「メイキング用のドッキリ撮ってるんだ。」
「いつも難しい顔の、ケンケンとごうちんの素顔に迫る!っていうね〜!」
竜持と悠太が説明する。剛士がなにかに気づいたようにため息をついた。
「あのシャワーシーン俺だけリテイクもドッキリかよ。どーりでおかしいと思った。」
「ううん。それはホント。」
僕はニッと笑って剛士の頬を指で突いた。
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夕方になり、キタコレの撮影が終わってTHRIVEだけになった。
監督が大きな川で撮影したいと言い出して現場がバタバタしだした。
「ほら、主演俳優の出番だ。大抵の女は上手く扱えるんだろ?」
「仕方ないなぁ。」
剛士が健十を焚き付けて、健十がそれに乗っかり監督の元へ歩き出した。