【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第5章 鼓動アンビシャス.4
「B-projectのみなさん、このあと三時間待ちです。」
僕達は健十が主演の学園不良映画の撮影に来ている。
撮影する廃校は学校生活を思い出す。仕事で休むことが多くて、中学生の頃から半分くらいしか通えなかったけど。高校は日数足りなくて全日制は卒業できないし、収録は午後〜夜が多いため夜間にも通わず、通信制で卒業した。
「竜持〜。」
「ちょっと。漣。暇だからってちょっかい出さないで。」
「竜ちゃん♪」
「悠太も便乗しないの!」
竜持に飛びついて、楽屋代わりの教室に敷いてある畳でごろついた。あとから悠太も混ざってきた。
ガラッとドアが空いて、夜叉丸さんが入ってきた。台本の確認をする澄空さんの肩を叩いた。
「みんなとってもいい演技だったわ!」
「夜叉丸さん!!」
「来てたんだ。」
「もちろんよ〜!」
倫毘沙と剛士が驚きの声を上げた。
「夜叉丸さん!僕、かっこよかった?」
「ええ!とっても。でも今後も気を抜かないでね。」
問いかける悠太にウインクする夜叉丸さん。
竜持が剛士に話しかけた。
「今回の映画監督、フランスでは有名人らしいね。」
「そんな人がどうして日本の不良映画を撮るんだ?」
「そこんとこのセンスが芸術的なんじゃない。」
「そっかぁ〜。僕、今更緊張してきたっ。」
「リラックスすれば大丈夫ですっ!」
「お前が1番緊張してんじゃねーか。」
悠太に声をかけた澄空さんに、剛士がツッコんだ。
僕はやりとりがかわいくて、クスッと笑った。
でも外を見て、いつもの事ながら呆れた。
「それで、我らが主演は何してるんだか。」
健十は外で2人の女の子たちをナンパしていた。
「愛染さ〜ん、今度ごはん連れてってくださいっ」
「いいよ。美味しいフレンチ見つけたんだ。」
「え〜!どこですか〜?」
「愛染さんっ!!」
澄空さんが、健十を引っ張って連れ戻した。
「なに、つばさ。ヤキモチ?」
「違いますっ!」
顔を赤くして否定する澄空さん。かわいいな。
僕達は同じ気持ちだっただろう。
「もう。あんたって子は。スキャンダルだけは辞めてちょうだいね。」
「そんなヘマしないよ。」
「あ!竜ちゃん。僕達はあの準備しないと。」
「うん。そうだね。」
剛士は不思議そうに二人を見てる。