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【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】

第4章 鼓動アンビシャス.3


「What!?Why are there women here!!」
(はぁ?!なんでここに女がいるんだよ!!)

大浴場で顔を真っ赤にして故郷の言葉を喋る剛士。
だが僕達はまだ10歳前後だったので英語がわからなかった。
剛士は真っ赤な顔で僕の体に自分の腰に巻いていたタオルを巻き、僕の手を引いて脱衣場まで引っ張っていった。

「え?お風呂は?」
「いいからちょっと来い。」

着替えたあと連れられてきたのは寮の管理人室。その頃は夜叉丸さんが住んでいた。夜叉丸さんに事のあらましを話す剛士。僕は自分のことを男だと思って生きてきていたので、何を話しているのかわからなかった。

「漣ちゃん…ここはね、男の子がアイドルを目指す場所なの。残念ながら、女の子は入寮できないわ。ごめんなさい。いま、ご両親に連絡を取るわね。」
「僕、女の子なの……?」
「お前、アホか。チンコついてないやつは女だろ。」

剛士はため息ついて、立ち上がった。

「じゃーな。俺は戻る。」

夜叉丸さんは、両親の元に車で送ってくれた。帰るや否や、僕は父親にボコボコにされた。

「この、男女。売女。お前なんか、俺の子じゃない。二度と敷居を跨ぐな。」
「お父さん、ごめんなさい、ごめんなさい…」

僕は行く宛てもなく、気づけばまたバンビ寮まできていた。管理人室まで行くと、夜叉丸さんがいて、ボコボコの顔の僕を見て涙を流した。沢山抱き締めてくれて、僕も沢山泣いた。

「そう…ご両親がそんなことを……」

夜叉丸さんの瞳は怒りに燃えているように見えた。

「漣ちゃん。あなたはね、わたしの妹にそっくりなの。わたしと同じ、藍色の髪と、トパーズの瞳でしょう。とってもかわいい、漣ちゃん。大好きよ。今日から、私たちは家族よ。」

僕は夜叉丸さんに、ここにいることを許された。部屋に帰ると、剛士がめちゃくちゃ驚いていたけど、夜叉丸さんに色々説明されて、渋々納得したようだった。その頃から、夜叉丸さんは僕の親、剛士は僕の兄弟になった。

僕は他のみんなとも徐々に打ち解けていき、レッスンでも好成績を残せるようになった。ただ、あの日から、夜眠ると必ず父親に殴られる夢を見るので、眠るのが嫌だった。

(今日も殴られるのか。)

僕はベッドの上で眠れずに目を開けていた。

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