【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第3章 鼓動アンビシャス.2
阿修は額を抑えて少し黙っているが、その目は燃えている。
俺たちのチームメイトだ。怒るのもわけない。
「……でも、顔はダメだよっ☆せめて、胴体にするとかさ〜」
「お前、意外とどぎついよな……」
俺は少し笑えてきて、これで釈村に釘を差せただろうし、気を取り直して今夜から向かう撮影の準備に取り組もうと思った。認めたくないが、阿修のおかげでもある。
察しのいい是国はこの状況だけで漣のことだと理解したかもしれないが、他の奴にはいつも通り俺と釈村が方向性の違いで揉めて、俺が手を出したと思われているだろう。アイツの秘密が公になるくらいなら、俺が傍若無人だと思われた方が何万倍もマシだ。
殴ったのは紛れもない事実だし、仕方ない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
THRIVEの部屋で全員で持ち物を確認しながら荷作りをしていると、愛染が説教たれてきた。
「剛士。お前、人と人は喧嘩で分かり合えると思っているのか?大人なら、話し合いで解決するよう努力すべきだ。」
「へーへー。今日も口うるせーな。」
黙っていた阿修が口を挟む。
「ケンケン、それ本心?」
「半分本心、半分建前かな。うちの姫にちょっかい出す男には制裁しないと。でも、大人の男同士なら、ほかにやり方があるんじゃないのとも思うし」
俺はこのやり取りが心底どーでもよかった。
「あっそ。過ぎたことなんだから、もーいいだろ」
「それもそうだな。今夜移動なんだし、俺は荷作り終わったら仮眠するから。お肌のために」
「ケンケンさっすがプロ意識高い〜!!」
部屋で寝ている漣の分の荷作りがまだ進んでいなくてそれにイラついていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
主人公side
昼寝したと思ったらもう真っ暗だった。起きると期限の悪そうな剛士に早く荷作りしろと言われたけど、お腹すいたので今日の夕飯を先に食べることにした。今日は悠太が夕飯当番だ。メニューはオムライス。
「おいしそー。僕おなかすいた。」
「漣ちゃんには特別にハートかいたげる!」
悠太はケチャップで歪なハートを描いてくれた。
「かわいい。いただきます。」
なんか悠太の愛を食べてるようだった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈