【金城剛士】あえてコトバにするなら【B-project】
第3章 鼓動アンビシャス.2
今日は打ち合わせがある。
離島でファンクラブ限定特典映像を撮るための、最終打ち合わせだ。
今夜遅くに移動を初めて、明日は早朝から海で撮影だ。
「いつも一緒にいんだろ。」
こいつ、たまに弱々しいところあるからな。
そう思って俺を抱き締めている細い腕に手を重ねた。
「いつもより一緒にいて欲しいの!トイレにもついてきて。」
「はぁ?!便所くらい1人で行けっ。」
強めに言い返すと、いつも通り漣の明るい笑い声が聞こえて安心した。あんまり心配させんなよ。
取り敢えず、こいつの首にキスマークつけたやつ、殺す。
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打ち合わせの前に澄空から昨晩のMooNsのスケジュールを聞いた俺は犯人の目処が立ったので、観察していたら、漣がそいつを睨んでいたので、確信した。
打ち合わせ後、釈村に声をかけた。
「おい。ツラ貸せ。」
「言い方、ガラが悪いですねぇ。」
会社の会議室から、会社のビル裏の人通りの少ない歩道まできて、俺は釈村の顔面を殴った。
「げほっ……」
「お前、その顔売り物になるのも、今日で終いだぞ。」
地面に落ちた眼鏡を踏みつけ、もう1発入れようと腕を振りかぶったところを、コンビニに買い出しに言ったらしい方向音痴の阿修に止められた。
「ごうちん!!なにしてるの!!」
阿修の大きい声で、ほかの買い出し組の、是国、北門、増永、野目の4人が集まってきた。
「帝人!!」
「剛士!!」
倒れた釈村を増永と野目が支えて、是国が怒った顔で俺と釈村のあいだに入った。北門は携帯でタクシーを呼んでいる。病院へ連れていくんだろう。ぺっ、と血を吐き出し、釈村が呟いた。
「カネさんにはお見通しでしたね…」
「お前っ、舐めんじゃねえぞ!!おい!!」
カッとなって怒鳴る俺を、是国と阿修が押さえる。
「ごうちん!辞めて!!」
「剛士っ!落ち着いて!」
「みなさん、すみません。今回は、完全に僕が悪いんです。」
「帝人…」
地面に座ったまま頭を下げる釈村の背中をさする増永。
俺は虫酸が走るのでさっさと踵を返した。
「ミカりん、ごうちんがごめん。僕、追いかけるから!お大事に!」
そう言って阿修が駆け寄ってきた。
「ごうちん、あんなことして、どうしたの?」
「あいつ、漣に手を出しやがった。」
「あちゃー。……」