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夕顔

第10章 人生も人間もバグだらけ





ステレス艦内にアナウンスが響く。
遂に、天鳥船が古代兵器として封印されていた由縁たるヒノカグツチの発射準備に入った。そしてその直後、前方に天鳥船をとらえる。
高杉はそれを確認してから、艦内先頭司令室へと向かった。





宇宙最強最悪の戦闘部族とは本当にそのままの意であるな、と高杉は皐月を見て思う。女、なんて柔らかい生き物ではない。惚れた目でみても、戦場へ赴く彼女の顔は歴戦の夜兎そのもの。

だが、本来夜兎とはそうなのだ。
彼らは、行く場所も帰る場所も戦場しかないのだ。


「総督!目の前に他のステルス艦を認知!急降下してる模様です!」

いよいよ衝突も間近となった時、操縦席に座る一人から声があがった。それを気にする事なく皐月は艦船の出口へと向かう。そういうのは高杉の仕事であり、彼女の仕事でない。その上、今皐月は自身の史上に残るほど気が立っていた。

アレは絶対に止める。
アレは絶対に壊す。


もう彼女は烏ではない。
夜の兎が狙った獲物は、息の根を止めるまで逃さない。

彼女の標的は高杉に予め聞いておいた天鳥船の中心にある制御装置、ヒノカグツチのエネルギー源。
ごちゃごちゃと分からないことを言われる任務もこなしてきたが、突っ込んで突破して壊すのは彼女の十八番。高杉に無理矢理通信機器を腕に付けられはしたが、きっと役目はさほど果たさず終わりそうであった。


出口横に寄りかかる様にして待機していた皐月。
そんな彼女から出る、肌がヒリヒリとする様な殺気に、高杉の口角は自然と上がった。



と同時、物凄い爆音と衝撃が艦船を襲う。


天鳥船に到達した合図だ。
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