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夕顔

第7章 キャッホーな奴には少し早い待ち合わせ時間を教えておけ






「で、どうするの?皐月さんはどっちの船にのるのさ!」

「顔の前で喋らないでくれ。」

ばちん、と容赦なく掌で顔を押しやる。
しかしそれも虫が止まったくらいに受け流し、しつこく神威は迫った。

「俺と一緒じゃなきゃダメだよ。晋助の船より、俺の船の方がお友達多いでしょ?こっちだったら、好きなだけ暴れて良いんだよ?」

「また、隙あらば殺そうとしているだろう。」


無駄に広い屋敷を、戦闘狂が三人。
どうやらこの後、第七師団と鬼兵隊は分かれて行動するらしい。その時にどちらの船に彼女をのせるかで揉めていた。
どうせまたやり合いたいだけだろうと、神威の顔を見た皐月。いつも糸目になっている目が開いていた。

晋助に何か言われたか、と思いながらも未だしつこい神威に彼女は人差し指を立てていった。

「そうしたら、先に一発きめた方の船にのることにしよう。これでどうだ?」

「いいね、それ!夜兎っぽい!!」

「それ結果見えてんだろ。」

つか落ち着け、と高杉が神威に声をかけたが、彼の耳には何も届いていなかった。一人だけ足早にすたすたと歩いて行ってしまう。

「やってくれたな。」

「君には負けるよ。それに、丁度良い。」


置いて行かれた二人の前方。
神威は一番奥の部屋に着くと、すぱんっ、と気持ちよく襖を開け、その部屋にいた者の顔面を挨拶もなく殴り飛ばした。



「おい、何やってんだてめぇ。」

神威に声をかけた高杉は呆れたように言う。
会うはずだった人物、一橋喜喜が吹っ飛んで行った外を伺う二人の背中みた皐月は、そのまま部屋にも入らず来た道を戻り始めた。


「あ!どこいくんだよ皐月さん。てかこれで俺の船乗ってくれるんだよね!?」

「僕はバカの船に乗るのはもうこりごりだ。」

そういうと、背後で神威がブーイングの声を上げた。


「皐月、」

「挨拶だ。君達みたいな男が行くより、こんな僕でも女が行った方がいいだろう?」


皐月を呼び止めた高杉を少し振り返りながら、声を被せるように言う。そんな彼女を、高杉は少し目を細めて見送った。


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