第5章 女は黙って笑顔に花
「食べ物を買いに行こうと思うのだが、どうする?」
しばらく歩いていると、前にいた桂がこちらを振り返った。
「どーするもこーするも、買えばいいだろ。」
「いや、花火の時間が近いからな。場所取り班と分かれて行動した方が良いと思うのだ。」
その桂の言葉にそういう事か、と答える。
「皐月は勝手がわからんだろうから、場所取りの方を頼む。銀時、お前もだ。」
特にこだわりのない銀時は反論しなかった。
その配役に高杉は少々不満の様だった。だが、なにか欲しいものでもあるのか、苦虫を噛み潰した様な顔をしながら黙っている。
「あっちの川辺が穴場らしい。先にそちらで待っていてくれ。」
桂が指差した方を見てみれば、たしかに人の流れは反対だ。
銀時が場所を把握したのを確認すると、桂は高杉を連れて人の波を割る様にどこかへ行ってしまった。
「……行くか。」
ずっと止まっている訳にも行かず、銀時は皐月に声をかける。彼女はそれに頷いて、銀時を見失わぬ様にと今度ばかりはしっかり前を見て歩き始めた。