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夕顔

第4章 恋にマニュアル本は必要ない





叫びながら襲いかかるも、最後まで言葉を紡ぐ前にその頭が吹っ飛ぶ。その周りにいた者も例外なく、いっそ美しいまでに首から頭が剥がされていった。

「おいクソやろうども。誰の許可あってこの人に汚ねぇ手だしてやがる。」

異様に細く、刃の長い刀を空で切り血を飛ばしながらハルが皐月の前へ出る。

「な、なんだこいつ。」

いつも彼女の後ろについているだけの線の細い青年が、まさかその腰についているものがお飾りでないと知らなかったのだろう。勢いのついた者たちの足にブレーキがかかった。

「ハル。いつも、僕のことは良いと言っているだろう。」

「いや殺すにしても、皐月様があのような醜いクソ豚に触らなきゃならないと思うと、つい。」

先程凄んでいた様には見えない、少し情けない顔をしてハルは振り返る。
全く、と呆れながら彼女は優しい従者の肩を叩く。

「だが、僕に用があるのだろうからな。僕が話を聞こうじゃないか。」

そう言って彼女は前に出だ。
さぁ来ると良い、と態度だけで示した皐月は、再び天人たちに火を付けた。
武器を一度下ろしかけた野郎たちが、また雄叫びをあげながら走って向かってくる。


「ち、調子のんn………」

ーーーザシュッ

「おい!すぐ殺したぞこいつ!!話聞くとか言っといてこれっぽっちも聞かねぇよこいつ!!」


容赦ない手刀の攻撃を入れ、一つ死体を増やす。
だがもう引くわけにいかなくなった者たちの足は、今度こそ止まらない。

番傘を振り回しながら戦場を駆け、あっという間に誰よりも高く屍の山を作った。向かってきた敵に回し蹴りをしたかと思えば、倒れたその天人の首を踏みつぶす。飛びかかってきた敵には、下から鋭く手刀の突きで心臓を潰した。

その一連の行動に顔色の一つも変えない彼女は、まさに鬼であった。
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