第3章 春休み明けの女子と夏休み前の男子はセットで気をつけろ
「皐月、最近来ないな。」
あの日、彼女は二人を待たずに帰ってしまった。
何かしたのでは無いかと、再三せめられどやされた。
その場はなんとなく流せたが、こうも姿を見なくなってみて振り返れば心当たりが多すぎた。
「おい、やっぱお前皐月になんかしただろ。」
はけ、言わんばかりに高杉に胸ぐらを掴まれる。
皐月がこないここ数日、高杉の機嫌は最悪だった。
「……俺は何もしてねぇよ。」
「なんだその間は。あの日皐月に会ってんのはテメェだけなんだよ、しら切っても意味ねぇぞ。」
「ふざけるなよ。男子三日会わざれば刮目してみよって言うだろ。三日前の俺は、俺であって俺じゃねぇんだ。」
冷や汗をかきながら、銀時は意味の通じないおとぼけをみせた。
てめぇとは毎日会ってんだろ、と怒鳴る高杉の隣で、桂がやれやれ、と言いながら首を振った。
「アホか。それを言うなら女子三日会わざればパンパンしてみろ、だろう。毛根か、毛根が原因なのか。」
「「いや馬鹿だろ、やっぱお前馬鹿だろ。」」
まぁ落ち着け、と二人を嗜め、桂は高杉の手を銀時から剥がす。
「今争ったところでだ。もしかしたら何か用事があるのかも知れないだろう?」
それより、と話を始めようとする桂に、二人はお前が振った話だろうと思った。だがあまりの真剣な眼差しに、黙って話を聞くことにした。
「……最近、なぜ先生の周りが静かなのか、理由を知っているか?」