第11章 夜と罪
一方、銀時と高杉は桂と合流してターミナルへ乗り込んでいた。
三人の松陽の弟子たちの目的はバラバラ。
やり方も方針もバラバラ。
結局最後まで纏まらずバラバラ。
だが、自然と走って向かう先は同じだった。
そうして戦っている最中、高杉は自分に流れている血が本当に不死を可能にしていたのもであったと感じる。自分は不完全体ではあるが、瀕死の怪我を負わされたにもかかわらず、理に逆らい修復しようとする細胞。どこまでもつかは分からないが、そんな自分の身体で、壊すでなく、何かを守れるならそれで良いかもしれないと、らしくないことを考えた。
自分に流れている血に、師と兄弟子のものが混ざったからか。
はたまた、真の自分の本懐がそうだったのだろうか。
だが、もうなんだっていい。
自分のいない未来へ、なにか繋げて残していけるものがあるなら、ここで必要のないものは何もかも道連れにして死んでいこう。
そう思いながら、虚の血を引いて不死となった天導衆二人と共に、銀時が暴走しかけている中枢に入れた亀裂から漏れる高エネルギーでその身を焼こうとした、その時だった。
「……なんで来た、皐月。」
左腕を焼かれて持って行かれた瞬間、高杉は銀時に吹っ飛ばされ、その先にいた彼女に受け止められた。背後から抱えられる様に支えられる。
「地獄の共をしに来ただけだ。好きにしろと言われたのでな。」
そう言って皐月は高杉の消えた左腕のかわりに、彼の半身を支えて一緒に立ち上がった。
「……君にはまだ行かなければならない場所があるはずだ。」
立ち上がった先、洞爺湖と書かれた木刀を高杉は彼女に支えられながら拾う。その時、どこからかその木刀の持ち主であるバカの声が聞こえた様な気がした。