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【進撃の巨人】Short Story

第10章 雨が上がった、やっと君に会えたよ【リヴァイ】


≪『危ない!!』

どこからか焦ったような声がした。
若い女性のものだったと思う。
でも、それは、あまりにも突然で、一瞬だった。
驚いた私は、辺りを見渡してその声の主を探した。
でも、店仕舞いもとっくに終わった後の土砂降りの商店街には、若い女性どころか、見慣れた店主たちの姿すら一人も見つからない。
聞き間違えだったのだろうか———そう思ったときに、それは起こった。
目の前に現れたのは、持ち上がった大きな2本の前脚と、悲鳴のような馬の鳴き声、それから、真っ暗な夜空を舞うランタンの光に照らされた驚愕の表情を浮かべる馭者の顔だった。
何が起こったのかはわからなかった。
それなのに、これから何が起こるのかは漠然と分かるもので『あぁ、私はこのまま、リヴァイさんに会えないまま、リヴァイさんの心も知らないまま、馬車に轢かれて死ぬのだな』と最悪な未来が頭をよぎったのだ。
それなのに———。

「…!?」

私の身体を、誰かが抱きしめた。
確かにそう感じたはずなのに、目の前には誰もいない。
それからすぐに、ドンッと人間と馬車がぶつかる大きな衝撃音が響いた。
でも、ぶつかったのは私じゃない。
だって、私はその衝撃を誰か越しに感じたのだ。
そしてそのまま私の身体は飛ばされて、地面に落ちていった。
でも、勢いよく地面に落ちたそのときも、誰かが私を庇ってくれたおかげで、鈍い衝撃を受けただけだった。
あぁ、でも、地面に落ちた時に頭は打ったのかもしれない。
ぼんやりとして、仰向けに倒れ真っ暗な夜空を見上げたままで、身体が動かない。≫

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