第8章 scene2:ハートのバスタブ
戸惑い、躊躇いながらも、僕はNINOに応えるように、舌を絡めた。
「ふ…、んふっ…ぁ…」
時折、お互いの熱い吐息を混ぜ合いながら、唾液も混ぜ合って…
頭がボーッとしてしまうようなキスに、任務完了を命じた筈の“可愛い子”が疼きそうになって…
僕は咄嗟にスカートの裾を握り締めた。
だって、キスだけで元気にしてたら、恥ずかしいでしょ?
でも、そんな僕の心配は全然必要なくて…
「オッケ〜ィ! 二人共最高だったよ。お疲れ様」
カメラマンさんの一声で、ねっとりと絡めた唾液が糸を引きながら、NINOの唇が僕の唇から離れていった。
「お疲れ様、NINOちゃん。それにしても…」
NINOのがスカートの裾を握る僕の手に自分の手を重ね、僕の耳元に唇を寄せ、
「HIMEちゃんたらとっても元気なのね?」
クスクスと肩を揺らした。
なんだ…、しっかりバレてたのね…
「あ、そうだわ…」
ガクーンと項垂れる僕を一人ソファに残し、NINOがカメラマンさんに駆け寄り、スマホを手に何やらごしょごしょと始めた。
何をしてるんだろう…
僕が首を傾げたその時、
「おい、今日はもう上がりで良いそうだ」
僕の荷物を手に、長瀬さんが僕を見下ろした。
「行くぞ」
「あ、う、うん…」
僕は長瀬さんから荷物を受け取り、スカートの裾を気にしながら立ち上がる。
けど、その時になって僕は下着を着けてないことを思い出した。
「ちょ、ちょっと待ってて?」
僕はリュックの中を漁ると、替えの下着を取り出し、天蓋から吊るされたカーテンをドレープ状に纏めたタッセルを解いた。
ちょっとスケスケだけど…、何も隠す物がないよりはマシよね?
僕は辺りを見回すと、誰も見ていないことを確認ささてから、スカートを捲り上げ、女性用の小さな下着を身に着けた。
さすがにノーパンじゃ帰れないからね(笑)